ワインの世界地図が変わる!? ボルドーの猛暑とフィンランドの葡萄畑

ボルドーの熱波とフィンランドの葡萄畑

こんにちは、ソムリエの藤本です。

今日は少し驚くニュースを持ってきました。フランスの著名な産地「ボルドー」が異常な暑さに見舞われている一方で、なんと「フィンランド」という寒冷な国でワインづくりが始まっているんです。地球温暖化によって、世界のワイン地図が今まさに塗り替えられようとしています。今日はその実態を、専門用語もかみ砕きながらお届けします。

ボルドーで46℃。開花期を襲った異常高温

2026年6月21日、フランス・ボルドーの気温は46℃に達しました。真夏の炎天下よりも過酷な数字です。しかもこれ、収穫の3週間も前、ぶどうの花が咲く最も重要な時期に起きた出来事でした。

熱波で結実不良を起こしたぶどうの房

ぶどうは開花のあと、うまく受粉(花粉がめしべに付くこと)すると実がなります。しかし受粉には15℃前後の適温が必要です。それにもかかわらず46℃という猛烈な高温にさらされると、花はうまく実を結べず、そのまま枯れてしまいます。これを「花振るい(はなぶるい)」と呼びます。咲いた花が実を結ばずに終わってしまう、生産者にとっては深刻な結実不良です。

日なたにあった房(ふさ)の表面温度は、なんと約61℃にまで達したそうです。これはもはや日焼けの域を超え、細胞そのものが破壊されるレベル。生き残った果実も酸味や色素が失われ、本来の味わいを出しにくくなります。

ボルドーの熱波と耐寒品種の生存限界温度を比較したグラフ

上のグラフは、ボルドーの猛暑がいかに「適温」を超えていたかを示したものです。受粉に適した15℃に対して、実際の気温は46℃、房の表面温度は61℃。数字で並べると、その乖離の大きさに驚かされます。

一方フィンランドでは、新たな葡萄畑が誕生していた

同じ地球温暖化が、まったく逆の出来事も引き起こしています。舞台はロシア国境に近い、フィンランドの「南カレリア」という土地。北緯61度という、日本の感覚でいえばかなり北方にある場所です。

フィンランド南カレリアの葡萄畑

ここでカリ・コスケラ氏が「コトラ・ヴィンヤード」という葡萄畑を開いたのは2020年のこと。フィンランドは冬になるとマイナス30℃にも達する厳寒の国です。一般的なワイン用葡萄(ヨーロッパ系品種)では、寒さに耐えきれず枯死してしまいます。

そこでコスケラ氏が選んだのは、アメリカ・ミネソタ大学が長年かけて開発した「耐寒性に優れた交配品種」でした。

  • マルケット(赤):マイナス34℃まで耐える。チェリーのような香りを持つ本格的な赤ワインに
  • ラクレセント(白):マイナス38℃まで耐える。あんずの香りとリースリングを思わせる爽やかな酸味
  • セントペパン(白):マイナス32℃まで耐える。マスカットのような華やかな香りの白ワインに

上のグラフの通り、一般的な葡萄がマイナス20℃前後で越冬の限界を迎えるのに対し、これらの品種はそれをはるかに上回る耐寒性を持っています。フィンランド政府もEU(欧州連合)に対し、正式なワイン生産国としての認定を申請しているそうです。

世界のワイン地図は、今後どう変わるのか

霜に覆われつつある世界のワイン地図のイメージ

フランスでは、この30年で収穫時期が2〜3週間も前倒しになっています。ボルドーの主要品種「メルロー」は暑さに弱く、アルコール度数が上がりすぎる傾向があるため、より晩熟な「カベルネ」種への植え替えを進める生産者も増えてきました。

さらに厳しい予測もあります。仮に地球の気温が2℃上昇した場合、南欧やアメリカ・カリフォルニアの低地に位置する産地の最大90%が、今世紀末までに経済的な生産維持が困難になるとの試算もあるのです。

その一方で、イギリスでは2004年比で葡萄畑の面積が4倍(400%)に拡大し、シャンパーニュの大手メゾンまでもがイギリスの畑への投資を始めています。まさに「暑さから逃れるように産地が北上し、涼しい土地で新たなワインが生まれる」時代が、現実のものとなりつつあります。

涼を求めるなら、白ワインという選択

ボルドーの記事を読んでいて、ふと思いました。こんな異常な暑さの夏こそ、キリッと冷やした白ワインで涼を取るのが一番だと。

冷えた白ワインで涼をとる

そこで、当店より数量限定でご用意している一本をご紹介します。

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※数量限定1セットのみのご用意です。売り切れ次第終了となります。

おわりに

ボルドーの猛暑も、フィンランドの新しい葡萄畑も、同じ「地球温暖化」というひとつの現象が引き起こしています。私たちが何気なく口にしている一本のワインの裏側に、これほど大きな地球規模の変化が関わっているとは、驚くばかりです。

これからのワインの世界地図がどう変わっていくのか、ソムリエとしても大変興味深く見守っています。また面白い発見があれば、皆さんにお届けしますね。


出典: The Wine Map Is Being Redrawn. Right Now, in Real Time. - Solera(Kevin Nesgoda, 2026年6月22日)

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