「沖縄料理とイタリアワイン」ペアリングセミナー レポート
共有

先日、いつもお世話になっている料理教室にて開催したワインセミナー「沖縄料理とイタリアワイン」の模様をレポートします。
「沖縄料理とイタリアワイン」——合わせること自体はできる。でも、どこまで精度を上げられるか、少し不安でした。
私の半分は沖縄の血が流れています。謎の使命感が沸々と湧くことで今までの経験とひらめきにより導き出した組み合わせ。
それを実際にワインと料理を合わせてみると、両者は驚くほど自然に共鳴してくれたんです。
沖縄料理には、豚肉文化、素材を活かしたシンプルな味付け、そして泡盛に代表される発酵の文化があります。一方イタリアも、地域ごとに「その土地の料理と一緒に育ってきたワイン」がある国。今回はエミリア・ロマーニャ、シチリア、プーリア、フリウリ、マルケ、トスカーナと、イタリアを縦断するように6つの産地のワインを選び、それぞれを沖縄料理と合わせました。
1本目|チンクエ・カンピ テルビアンク 2023 × 青パパイヤしりしり

イタリア北部エミリア・ロマーニャ州、樹齢100年以上の古木トレッビアーノを使った自然派の微発泡ワイン。フィルターをかけない無添加製法で、淡い麦わら色にうっすら濁りが残るのが特徴です。

合わせたのは青パパイヤしりしり。素材の苦みとシャキシャキ感を活かした「引き算の料理」に、このワインの白出汁のようなじんわりとした旨みがよく合いました。一口目は控えめな印象でも、飲み込んだ後にゆっくりと旨みが広がる——上質なお吸い物に近い感覚です。
2本目|グルフィ ヴァルカンツィリア 2024 × もずく天ぷら

舞台はシチリア島。標高420メートルの丘で育つ土着品種カリカンテとシャルドネのブレンドで、昼夜の寒暖差が生む上品な酸とミネラル感が持ち味です。

合わせたのは、沖縄産もずくの天ぷら。ワインのミネラル感と磯の塩味が「海のニュアンス」でつながり、きれいな酸が天ぷらの油をすっきり流してくれます。「天ぷらにはビールよりワインが合う」という話をよくするのですが、まさにそれを実感できるペアリングでした。
3本目|ファタローネ プリミティーヴォ・ロゼ テレス 2024 × タコライス

プーリア州から、プリミティーヴォの「ラチェーミ」と呼ばれる二番果だけを使った希少なロゼ。プレスせず自重で流れ落ちるフリーラン果汁のみを使う、とても手間のかかる一本です。

1980年代沖縄県で生まれたタコライスと合わせました。
タンニンが穏やかなロゼはスパイシーなチリミートと喧嘩しないし、白ワインよりボディがあるので肉のボリューム感にもちゃんと寄り添える。果実味がチリの辛みをやさしく包んでくれました。
この組み合わせは参加者の皆さんからの反応が特に良く、当日いちばん盛り上がったペアリングのひとつになりました。
4本目|プリモシッチ ピノ・グリージョ オレンジワイン 2023 × ラフテー(白味噌)

フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州、スロベニア国境近くのコッリオ産。ピノ・グリージョを皮ごと6〜7日漬け込んで発酵させたオレンジワインです。

これをラフテー(白味噌仕立て)と合わせると、「発酵×発酵」のマリアージュが生まれます。大豆と塩を発酵させた白味噌と、皮との接触で生まれるオレンジワインの発酵ニュアンスが、互いの旨みとコクを引き立て合うんです。沖縄とイタリアで発酵文化が呼応する——この組み合わせは個人的にも気に入っています。
5本目|ボッカディガッビア ロッソ・ピチェーノ 2021 × ラフテー(醤油)

マルケ州、かつてナポレオン・ボナパルトの子孫が所有していたという歴史を持つ農園のワイン。モンテプルチアーノとサンジョヴェーゼのブレンドで、果実のボリューム感とエレガントな酸を両立しています。

同じラフテーでも、タレが醤油に変わると合わせるワインも赤に変わります。アミノ酸豊富な醤油の旨みと赤ワインの旨み成分が共鳴し、やわらかなタンニンが豚の脂をすっきりリセット。タレひとつでベストな一杯が変わる——これがペアリングの面白さだと思います。
6本目|カステルグレーヴェ ヴィン・サント・デル・キャンティ 2021 × ジーマーミー豆腐

最後はトスカーナ州キャンティ・クラシコ地区から、「聖なるワイン」と呼ばれるヴィン・サント。収穫したブドウを数ヶ月干して糖分と香りを凝縮させる、パッシート製法による甘口ワインです。

落花生から作る琉球宮廷料理ルーツのジーマーミー豆腐と合わせると、蜂蜜のような甘みとコクが重なり合う「甘み×甘みで包み込む」ペアリングに。セミナーの締めにふさわしい、贅沢な余韻でした。
おわりに
今回は「旨みの共鳴」「海のミネラルで共鳴・酸で油を切る」「中間役で橋渡し」「発酵×発酵」「うまみ×うまみで脂を切る」「甘み×甘みで包み込む」と、6つの異なるペアリングのアプローチをご紹介しました。
理論で考えるのも楽しいですが、「飲んでみたら合っていた」という偶然の発見も、ワインを楽しむうえで同じくらい大切だと思っています。ぜひご自宅でも沖縄料理とイタリアワインの組み合わせを試してみてください。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。次回のセミナーもお楽しみに。