ワイン選びが上手い人は、知識がある人じゃない
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何本飲んでも、好きなワインが言えない理由
ワインを飲んだ瞬間は「美味しい」「なんか違う」って、ちゃんとわかる。でも次の日には忘れている。ラベルも捨てた。名前も覚えていない。
レストランで「これ美味しいですね」と言われても、「えーっと、確か赤で、イタリアの……」としか答えられない。家族や友人にお土産でワインを買いたいときも、「前に飲んで美味しかったやつ」が思い出せず、結局なんとなく選んでしまう。
だからまた同じことを繰り返してしまう。ワイン売り場で迷って、なんとなく手に取って、なんとなく飲んで、また忘れる——。
これ、実はあなたのせいではありません。ソムリエとして長年、たくさんのお客様を見てきてわかったことがあります。ワイン選びが上手い人は、知識がある人ではなく、自分が飲んだ記録がある人なのです。
知識から入ろうとすると、ブドウ品種・産地・格付け・ヴィンテージと覚えることが多すぎて、途中で挫折してしまいます。実は順番が逆なんです。まず自分の好みを知ること。そこから知識が初めて意味を持ち始めます。
やることはシンプル、一言だけでいい
難しいテイスティング用語を覚える必要はありません。やることはとてもシンプルです。
飲み終わった後に、一言だけ残してみてください。
- 「渋かった」
- 「スッキリしてた」
- 「重かった」
- 「酸っぱかった」
- 「甘みを感じた」
- 「飲みやすかった」
これだけでいい。写真でも、メモアプリでも、手書きのメモでも、なんでも構いません。大事なのは「完璧な記録」ではなく「続けられる記録」です。
例えば、ワインのラベルをスマホで撮影して、メモアプリにその一言を添えるだけでも十分です。「美味しかった」だけで終わらせず、どんな美味しさだったかを一言加える。それだけで、半年後に見返したときの情報量が全く違います。
記録する際のちょっとしたコツ
- その場で記録する:後で書こうと思うと忘れてしまいます。グラスを置いた瞬間にメモするのが一番正確です
- 比較で書く:「前に飲んだ赤よりも渋い」のように、過去の記憶と比べて書くと、自分の感覚の軸が育ちやすくなります
- 料理との組み合わせもメモ:「鍋に合わせたら良かった」のような一言があると、次回のシーン選びに役立ちます
10本分の記録が教えてくれること
その一言が10本分貯まったとき、初めて見えてくるものがあります。
「自分はタンニンが苦手なんだ」 「酸味があるほうが好きなんだ」 「重めのボディよりライトな赤の方が好きみたい」
そこで初めて、産地も品種も格付けも、意味を持ち始めます。「あれ、自分が好きだと思っていたワインはどれもピエモンテ産だ」「果実味が強いタイプばかり選んでいる」——記録があるからこそ、こうした自分だけの傾向に気づくことができるのです。
逆に言うと、その積み重ねなしにラベルだけを読んでも、一生「なんとなく選ぶ」から抜け出すことはできません。DOCGという格付けを知っていても、それが自分の好みと一致するかどうかは、結局飲んでみないとわからない。知識は記録の後からついてくるものなのです。
次の一本より、今の一本を
美味しいワインに出会いたいなら、次に買う一本のことよりも、今あなたが飲んでいる一本をちゃんと感じてみてください。その小さな積み重ねが、あなただけのワイン選びの羅針盤になります。
ワイン選びに「絶対の正解」はありません。あるのは、あなた自身の好みという「自分だけの正解」です。それを見つける一番の近道が、今日からできる一言の記録なのです。
\ 自分の好みを知るための第一歩に /
記録をつけながら色々なワインを試してみたい方には、ソムリエが選ぶ「おまかせセット」もおすすめです。様々なタイプのワインが届くので、自分の好みを発見する一番の近道になります。