レストランの星で有名な「ミシュラン」が、今度はワインに点数をつけ始めた話

「ミシュラン」と聞くと、おいしいレストランに星をつけるガイドブックを思い浮かべる人が多いと思います。

そのミシュランが、2026年7月、フランスのブルゴーニュで、初めてワインそのものに点数をつける新しいランキングを発表しました。名前は「MICHELIN Grape Selection(ミシュラン・グレープ・セレクション)」。星の数ではなく「グレープ(ブドウの粒)」の数で評価する仕組みです。

どんなランキングなの?

評価は4段階です。一番上が「3グレープ」、その下に「2グレープ」「1グレープ」、そして「セレクション」と続きます。今回、ブルゴーニュの94の造り手が選ばれ、そのうち最高評価の「3グレープ」を獲得したのは9つの造り手でした。世界的に有名な「ロマネ・コンティ」を造る畑も、その一つです。

では、何を見て点数をつけたのでしょうか。ミシュランは5つのポイントを挙げています。

  1. 畑の土がしっかり手入れされているか
  2. ワインの造り方に失敗がないか
  3. その土地らしさが味に出ているか
  4. 酸味や渋みなど、味のバランスが良いか
  5. どの年に造っても、同じくらいおいしいか

調査の仕方も特別です。こっそり調べるのではなく、担当者が実際に畑やワイナリーを訪ねて、自分の目で確かめてから点数をつけたそうです。

なぜ今、ミシュランがワインを採点し始めたの?

実はミシュラン、2025年に「ワイン・アドヴォケイト」という、世界中で読まれている有名なワイン雑誌を買い取りました。もともとワインの点数づけで知られていた会社を仲間に入れたことで、今回のブルゴーニュのランキングが実現した、というわけです。ミシュランは今後、他の産地のワインにも点数をつけていく計画だそうです。

でも、すぐに「それ、おかしくない?」の声が上がった

このニュースが発表されて数日後、意外な出来事が起きました。3グレープに選ばれたはずの、とても有名な造り手の一つが、「なぜうちがこの点数なのか、理由がわからない」とインターネット上で不満を発表したのです。

まわりからも、こんな疑問が出ています。

  • そもそもミシュランは、これまでレストランを評価してきた会社。畑やワイン造りのことを、本当にきちんと判断できるのだろうか?
  • ミシュランは「土がきちんと手入れされているか」を評価の1つにしているのに、選ばれた94の造り手のうち、自然にやさしい農法(オーガニックなど)をしている造り手は、5分の1くらいしかいなかった。これは矛盾していないだろうか?
  • ミシュランは、もともと点数をつけていた「ワイン・アドヴォケイト」という会社も持っている。自分たちに都合よく点数をつけているのでは?、という心配の声もある

ソムリエとして思うこと

ランキングやガイドブックは、知らない土地・知らない造り手に出会うための「入口」として、とても便利です。ミシュランの星がレストラン選びの手がかりになるのと同じように、今回のグレープの数も、ブルゴーニュという広くて奥深い産地を歩くための地図の一つにはなると思います。

ただ、地図はあくまで地図です。本当のおいしさは、実際に自分の舌で確かめてみないとわかりません。今回、有名な造り手自身が「点数の理由がわからない」と声を上げたことも、新しい仕組みが始まったばかりだからこそのやりとりなのだと思います。ミシュランのレストラン格付けも、長い年月をかけて今の信頼を積み上げてきました。ワインの格付けも、これから同じように育っていくのかもしれません。

おわりに

ワインの世界には、昔からある古いランキング(畑の場所で決まる格付けなど)もあれば、今回のように、生まれたばかりの新しいランキングもあります。どちらが正しい・間違っているということではなく、それぞれ違う角度からワインを見せてくれる「ものさし」なのだと思います。

もしブルゴーニュのワインを見かけたら、「このワイン、グレープいくつだったのかな」と思い出してみるのも、ちょっと新しい楽しみ方かもしれません。

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